多嚢胞性卵巣(PCO)
多嚢胞性卵巣(PCO; polycystic ovary symdrome)とは、卵巣の中に卵胞(卵のようなものがたくさん入った、袋状のもの)が沢山溜まっていき、排卵が出来なくなったり、月経異常や不妊症などを伴ったりする病気です。
多嚢胞性卵巣症候群、あるいはPCOSと呼ばれる事もあります。
多嚢胞性卵巣の症状としては、月経周期の延長、不妊、稀発排卵、無排卵の他、体毛が濃くなる、男性ホルモンが増える、黄体機能不全などが挙げられます。
このうち、黄体機能不全というのは、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が少ない状態の事です。
黄体ホルモンは、女性の基礎体温における高温期を作り、受精卵が着床し易いよう子宮内膜を厚くするといった、いわゆる妊娠に向けての準備を行なうホルモンで、これが少ないと低温期と高温期の差がほとんどない、あるいは高温期があっても短いという状態になります。
不妊症になる大きな要因の1つとしてしばしば問題になり、排卵誘発剤や黄体ホルモン剤を用いた薬物療法による治療が有効です。
さて、婦人科における多嚢胞性卵巣の診断についてですが、これは「稀発排卵あるいは無排卵が認められる」「高アンドロゲン(男性ホルモン高値)の所見がある」「他の病気や要因が認められない」という3つの条件に当てはまるか否かがポイントになります。
多嚢性卵巣の治療は、薬物療法が中心です。
妊娠を希望している患者さんの場合、特によく用いられる内服薬としては「クロミフェン」という排卵誘発剤や「メトフォルミン」という糖尿病薬があり、これらが併用される事もあります。
また、妊娠を希望していない女性の場合には「カウフマン療法」と呼ばれるホルモン治療が有効です。
なお、多嚢性卵巣は肥満と大きな関係があり、肥満傾向の患者さんの場合には体重コントロール指導も行なわれます。
その他、多嚢性卵巣の患者さんは糖尿病や子宮体がんを患い易い事が指摘されています。
長期的な目で、様々な面から経過を観察していかなければならない病気であると言えるでしょう。
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